終わりよければすべてよし

ひとり親卒業日記

私と英語

学生時代に、さまざまな国を訪れた経験のある私にとって、おそらく日本ほど、外国人にとって英語が通じない国はないのではないか、と思うほど、一般の日本人は英語を話さない。私は、母国語の他に話せるのは英語くらいで、大学で学んだドイツ語やスペイン語は使いものにはならない。そして、持ち前の、困っているひとを見るとほっておけない性格も加わり、外出先ではよく、通訳代わりをする機会が多い。

 

私が日本で困っている外国人を、ときには自ら助けるのは、ひじょうに喜んでもらえるからだ。また、自分自身も英語のおかげで、英語圏以外をひとり旅したとき、たくさんの人々に助けてもらった恩を忘れないからだ。

 

つい最近はこんなことがあった。娘と人気のあるカフェに並んでいたときのこと。娘がひとこと。「お母さんの出番だよ。」見ると、自分たちの前に並んでいる外国人女性と店員さんの間で、何やら困っていた。私が、通訳しましょうか?と間に入る。外国人は、連れがいて、その人が来るのを待っていた。店員は、先に、後ろにいる私たちを通してしまってもいいか、あるいは先にひとりで席につき連れを待つか、聞いてほしいと。私が英語で聞いてみると、どうぞお先にと言う。それともここで待っていてはまずいか、連れはおそらく遅くなると。それを店員に伝えると、お客さまのお好きな方で構わないと。最後に、「It's up to you.」と伝え、私たちは先に通されることになった。決して難しい単語は必要のないやりとりなのだが、なかなか新宿といえども、どの店員も英語が話せるということはない。だいたい、まず相手の言うことが聞き取れないと、話にはならない。

 

他にも外国人と話したときに、こんなふうにさえ言われたことがある。「いやあ、日本に来てあなたほど英語が話せるひとに初めて出会いました。ひじょうに嬉しい。正直、ここまで英語が通じない国だとは思いませんでした。」と言われ、その後、話に花が咲いたり、わざわざ別の車両から会話を聞きつけて、これから〇〇に行きたいのだけど、電車の乗り換えについて教えてほしいと、また別の外国人に尋ねられたり。

 

いやあ、人助けって本当に楽しい。また、外国人の「Thank you」の言い方が半端ない。何度も何度も、満面の笑顔で言ってくれるのだ。

 

ただし、ここまで来るのに決して平坦な道ではなかったので、あらゆるひとにそれを強要することは難しいと思っている。あまり抑揚のない言語である日本語を話す私たちが、英語をマスターするのは、やはり簡単ではないのだと思う。