終わりよければすべてよし

ひとり親卒業日記

次男の体調不良

最近、受験を目前に控えた次男の体調が、あまり芳しくない。

 

先日、泌尿器科を訪れた記事を書いたが、尿の培養検査の結果も何も異常なし。

 

そして今日は、予備校の冬期講習をおやすみして、内科を訪ねた。最近、ほぼ毎日、胸のあたりに圧迫感を感じたり、痛みを覚えることがあるという。心因性のものなのか、あるいは気胸などの何か病気なのか、見当がつかない。

 

先生の問診に加え、胸部レントゲン、血液検査をしてもらった。レントゲンの結果、気胸ではないと判明。普通、気胸による胸の痛みはかなり強く、すぐに病院に駆け込まないと収まらない程度だという。

 

血液検査の結果は明日聞きに行くが、先生曰く、「話を聞いたり、診たところ、おそらく心因性のものじゃないかな。きっと合格すれば、いっぺんに治ってしまうでしょう。」と。

 

私が服用しているような、抗不安薬のような投薬は、10代の青年にはあまりおすすめしないと言っていた。確かに、私が発作時にのみ頓服する薬も、眠気が強く出たり、かえってイライラしたりと、やはり副作用はある。あまり、受験生に適切とは言えないだろう。

 

先生は、もうここまで来たら、体調が優先なので、無理に満員電車で辛い思いをして東京まで通うこともない。インフルエンザだって、いくらワクチンを打っても、かかるときはかかりますからと。

「家で勉強はできない方?」

「ああ、はい、そうですね。まあ、これからは時間をずらすなどして、なるべく満員電車は避けます。」

「そうだね、その方がいいと思うよ。たとえば、途中で辛くなったら電車を降りて、どこかカフェにでも入って勉強するとかね。とにかく、無理はしない方がいいよ。」

 

次男は、今年の冬は、わりと冬期講習や直前講習を入れていた。昨年の2月はほぼ毎日家にいて、部屋にこもりきりだったが、実はあまり勉強していなかったようだ。

 

彼は言っていた。

「A判定なんてかえって取るもんじゃないね。あれは、モチベーションをむしろ下げるよ。」

 

そう、確かに彼は現役時代からこれまで、東進、駿台、河合の東大模試を、11回連続でA判定を取ってきた。浪人生としての秋模試は、夏より少し下がったとは言え、志望科類内20番以内には入れたし、冊子掲載もされはした。だが、そこに合格の保証なんて何もない。

 

私はこう言ってみた。

「お母さんはね、まず今回は大丈夫だと思っているよ。それでも、万が一だめだったとしてもね。日本の大学は、どこに入ってもそうは変わらない。どんな大学でも、遊ぶひとは遊ぶし、真面目に勉強するひとは一生懸命勉強する。イギリスの大学はね。まず授業をサボるひとなんて、ひとりもいないから。そんなに時間を取るようなサークル活動もないから。みんなイギリス人は、缶詰を食べながらでも毎日熱心に勉強しているから。大学の周りに居酒屋なんてひとつもないし、お酒に飲んだくれている学生なんていない。アルバイトに明け暮れることもなく、ただただ毎日、勉強しているの。日本の大学とは全然違う。」

 

こればかりは本当に、海外の大学に入学してみないとわからないことだ。日本の大学は、勉強以外のことで忙しすぎるのだ。

 

次男がこんなことを言っていた。

「やりたいことや学びたいことがはっきりしているひとは、現役でどこかに入学した方がいいと思うよ。僕の高校は御三家でも何でもない。一方、御三家などの優秀な学校に入った場合、周りのみんなが東大を目指すから、自分もなんとなく、というひとは案外多いと思うんだ。必ずしも、東大に入ってどうしてもやりたいことがあるわけではない。でも他に行きたい大学がないから、みんなと一緒に東大を目指す。そしていざ入学してみると、あれ、何がやりたくて入ったのかと思い悩む人もきっといると思うよ。一種の、ノブレス・オブリージュ。財産、権力、社会的地位の保持には義務が伴うことを指すんだけどね。厳しい中学受験を勝ち抜いてきたひとにとって、最終的に東大を受験することが一種の義務みたいな。」

 

次男も、志望校は昨年と変えるわけではないが、昨年ほどは東大に拘ってはいないようだ。だが、ここまで来たからには最後まで頑張ろうとしている。

 

とにかく受験勉強そのものには、もう飽きた。早く、学問としての勉強がしたいと。

 

上の位置にいるものにはいるものの、特有の悩みやプレッシャーがあるのだなと、つくづく思った。

 

私は、自分の両親と違い、自分の子供が具合悪くなると、夜も眠れなくなるほど心配してしまう。

 

母のように、娘が救急車で運ばれようと、二人目や三人目の赤ちゃんを産もうと、粉砕骨折やめまいで入院して手術を受けようと、顔ひとつ見に来ないで知らんぷりすることは、決してできない。

 

やはり、怖いのだ。あんなに元気で丈夫だった夫を、わずか2週間の入院で突然亡くしているから、怖いのだ。

 

受験よりも、身体が大事!

 

無事に受けられたら、もちろんいいけれど、今はただ、早く次男の体調が万全になればと思う。

 

身体に勝る資本なんて、ないのだから。