終わりよければすべてよし

ひとり親卒業日記

息子の回復を願う

センター試験を受ける前。

そして、センター試験が終わったあと。

 

息子は私に言った。

 

「お母さん、一年間、本当にありがとうね。」

 

とんでもない。お礼を言うのはこちらの方だ。

 

この一年、私が何度もパニック発作が起きたときに、一番心配してくれてそばでいろいろとケアをしてくれたのは、他でもない、東大浪人生の次男だ。

 

正直、あらゆる浪人生の中で、これほど台所に立ち料理をしてくれた子が他にいるだろうか。

 

いろいろなものを作ってくれた。

 

バナナジュース。

フレンチトースト。

鶏の照り焼き。

野菜炒め。

ご飯を炊く。

パンプディング

野菜たっぷりのラーメン。

豚肉の生姜焼き。

 

料理がいい気分転換になると言っていた。

 

私の作る料理はすべて美味しいと、喜んで食べてもくれた。

 

きっとお父さんが生きていたら、息子に炊事で負担をかけることなどなかったと思う。

 

しかし、子供たちみんなの潜在記憶の中に、台所に毎日立つ父親の後ろ姿を見てきた記憶があるから、自然と自分がやってみようという気にもなるのだろう。

 

昨日息子は、センターリサーチのために予備校まで出かける元気はなかった。そこで私が代わりに、電話ですべての結果と志望校を伝えた。

 

そして今日、ようやく電車に乗り、予備校の直前講習へと出かけて行った。

 

昨年は受けなかった東進の最後の東大模試も、今年は受けるようだ。

「大丈夫? 模試だから途中で具合悪くなったら退出してもいいんだよ。」と私が聞くと、

「大丈夫。今回はちゃんと二日に分けてやるから。僕も本当に倒れるまで無理はしないから大丈夫。それに地元で受けるから。」

 

昨年の次男は、センター利用で受かりそうな大学があっても、見向きもしなかった。ところが今回は、センター利用で出願した大学の例年のボーダーラインを入念に調べている。あくまで予想に過ぎないが、なんとかなりそうという予想が立つと、胸を撫でおろしていた。センター試験の総合の平均点予想は、昨年と比べ、文系理系とも約20点は下がるだろうと出ている。一番下がりそうなのが、数学だ。息子は今回、本試より難易度の高い追試の過去問を熱心に解いていた。

「今回の数学、特に2Bは、例年の追試並みに難しくなっていた。追試の問題を解いておいて良かったよ。」

 

今日はこれから私は、ひとりで映画を観て来ようと思う。何を呑気に、と思われるかもしれないが、この辺でいったん気分転換をしておかないと、母親の私も息子のことが心配で心配で、頭から離れないのだ。

 

親が過剰に不安になる様子を、子供の前で見せてもいけない。あのとき、ホテルのスタッフにも言われたではないか。

「お母さんも落ち着いてね。その方が息子さんも安心するから。大丈夫ですよ、私たちもついていますから。」

 

動揺する私に、適切なアドバイスをくれて、何とすばらしいホテルの対応だったかと改めて思う。