天国のあなたへ
あなた、そちらは変わりないですか?
早いもので、とうとう明日は前泊するホテルへと出発しますよ。
どうか、天国から力を貸してあげてくださいね。
え、私の方が心配ですって? いや、私が試験を受けるわけではないから、多少体調が悪くなっても、ホテルの部屋で休んでいるから大丈夫ですよ。
もし、元気があれば、神社にお参りに出かけますね。
こちらはみな、元気にしていますから、安心してくださいね。
長男が昔、事故にあったとき、あなたは言いましたよね。
「ひとの幸不幸は長い一生で押し並べてみれば、そうは変わらない。」と。
確かにそうかもしれませんね。
では、今一番の幸せな気持ちを、どうかあの子に与えてください。
まずは、精一杯受験に向き合えた、その達成感を感じられるように。
そして、欲を言うなら、その頑張りが最高の結果へと続きますように。
合わせて520分という長丁場の試験を、2日に亘り、どうか最後の瞬間まで無事に乗り切れますように。
遠い空の上から、見守ってくださいね。
よろしくお願いします。
あなたの妻より