終わりよければすべてよし

ひとり親卒業日記

東大1年生の次男の近況

先日、次男がこんな言葉をかけてくれた。

「春学期、こんなに勉強に集中して頑張れたのは、お母さんのおかげだよ。ご飯の用意とか洗濯とか、ありがとうね。」

本来は自らやる勉強の方が好きなはずの息子が、東大に入り、正直ここまで勉強に集中するとは予想していなかった。

 

今期の東大は、完全オンライン授業。本日から始まったオンライン定期試験だけで成績評価をつけないようにと、どうやら例年の1年生よりもさらに多い課題や小テスト、グループディスカッション、質疑応答コーナーが設けられたらしい。

 

また、例の三脚を用意して監視されながら受けるテストは、結局息子の場合は、2科目だけ。あとは、最終決定権のある教授が、監視は不要と判断したらしい。ただしその分、例えば不正を防ぐために、本来は90分で終わる問題をわざと時間を40分にして、一生懸命解いても終わらなくて普通、みたいな形式にする科目もあるという。

 

あるいは、替え玉受験を防ぐために、カメラで自分の顔と学生証の顔の確認を事前に行うとか。また、試験後には答案用紙をカメラに移し、それを先生がスクリーンショットをとり、そのあとに画像で答案送信するとか。

 

なんだか、どこまでも疑われているようで、学生が気の毒にさえなる。こんなことなら、推薦合格者のように最初から進学する学部が決まっている方が安心な気もするが、入学後に文転したりと、いろいろな方向転換ができるところが、大きな魅力のひとつではあるのだろう。

 

本人は一番勉強を頑張ったのは高校一年生のときだというが、私から見たら、この4か月は、あれほどハマっていたSNSさえ絶つ勢いで、本当にすべての科目をよく頑張っていたと感心する。かなり難しそうに思えるフランス語も、クラス内最高点や満点を小テストで出したりして、高校までの国語や英語以上に力を入れていたと思う。私までいくつか、単語を覚えてしまったくらいだ。

 

また、今はまだ漠然とした目標だが、将来、アクチュアリーという資格に興味があるという。東大の数学科の学生でも容易には取れない難解な資格なようだ。また、企業によっては入社後に資格試験のための勉強だけをやりお給料も出すところもあるとか。そして、その資格を取れると、例えば生命保険の保険料をいくらに設定すると良いのか、など分析ができたりするそうだ。かなりの高収入を見込める分、やはり仕事は激務。体力があまりなく、結婚後は早く帰宅して家族との時間を大事にしたいと考える彼には、ちょっときついかもしれない。ただ、相変わらず数学は大好きなので、何か数字を生かした資格は取りたいのだろう。先日、統計検定2級の問題を解いたら、8割方できたと。それくらい、東大の授業の進度は速い。

 

この大学は本当に、心から勉強が好きなひとが入らないと、耐えられないだろうなと思う。

 

さて、半期で14コマの科目を申請した息子。今日から今月末まではテスト対策や英語でのプレゼンテーションの準備に追われていく。そして8月から夏休みと思いきや、お盆前までの期限で論文の提出があるという。単なるレポートというよりは、駒場図書館等も利用して、しっかりと仕上げる論文のようだ。

 

それから、なかなか決定が遅れていた東大は、ようやく秋学期の指針を決めた。ついに、少人数でやる授業は対面に(無理な人はオンラインも可)、大人数(1000人を超す場合もある)の授業はオンラインに、課外活動は開始可能に、と、ようやく密を防ぎながらの環境で、キャンパス内に入れることとなった。無論、東京都の状況が今よりさらにひどい状態に変われば話は別だが。

 

ああ、やっとこれで、少しは普通の大学生活を送れ、リアルで友達と会うこともできるのだなと、親としては本当に喜ばしく思う。そして、本日やっと、新しく契約予定のアパートの審査も無事におりた。新学期に間に合うよう9月初旬には引っ越して、はじめの数日は一緒に泊まり、新生活の準備を手伝おうと思う。引っ越し当日の夜に、いきなり友達を呼んで、ひとりで鶏の唐揚げを揚げるなんてできるのは、長男くらいだと思うから。

 

そのあとは、いよいよ私も、人生初めてのひとり暮らし。留学時代は寮生活だったから、完全にひとりという感覚はない。

 

まずは我が家の、家中の断捨離からやらねばと思うが、途方もない量だ。果たしてひとりでやり切れるのだろうか。とにかく、来年の3月までは地元にいて、自治会の仕事をしたり、たまには子供たちに会いに出向いたり、さらに余裕があれば何か資格を取るか、短期や単発で仕事をするか。一番困るのは、パニック障害のひとは長時間のマスクが発作のひきがねになることだ。呼吸が圧迫される感じで気分が悪くなる。不織布マスクの素材はポリエステルで合わないし、蚊帳マスクも購入してみたが、やはり苦しさは変わらなかった。

 

今や、在宅でもない限り、ほとんどの職場でマスクが必須の状態だ。熱中症の危険もより高まると言われる中、皆さん本当にたいへんだと思う。

 

さて、次男の試験が終了したら、まずは長男の引っ越しの手伝いだ。先日珍しくこんなラインが来た。「お給料が出ました。今度、ご馳走します。」

 

そんなふうに社会人になった我が子に言ってもらえたのは初めてで、素直に嬉しかった。