終わりよければすべてよし

ひとり親つれづれ日記

40年以上ぶりの夜中の嘔吐

ウッと思わず目が覚めたとき私は、咄嗟に身体を起こしていた。一瞬、何が自分の身体に起きたのか理解しがたかったが、どうやら戻してしまったようだ。なんとなく唇のあたりやパジャマの前身ごろを触ると、ベチャッとした気持ち悪い感触がある。

「え、いま私、吐いてしまったの?」

「お母さん、大丈夫?」と、咄嗟に息子の声が聴こえる。てっきり起こしてしまったかと思ったが、翌朝確認してみると、まるで覚えはないそうだ。

私は、三人の子を身籠った経験はあるが、つわりのときに一度も戻したことはない。ムカムカした気持ちや 炊きたてごはんの匂いで気持ち悪さを覚えることはあっても、実際に吐くことはなかった。

また、めまいから嘔吐するひとも多いと聞くが、季節の変わり目にどんなにめまいで気持ち悪くなっても、やはり実際に戻したことはない。

おそらく、幼稚園か小学生のバス旅行で車酔いしたときに戻して以来のことではないか。

眠っている最中だと、身体が起き上がれたからいいものの、寝たままの姿勢だったら窒息の危険すらありそうで、あとから考えても怖くなった。

それが、初めて次男のアパートに入居し、夜も泊まった晩の出来事だった。

その日の夕飯は、少し遠いスーパーに買い物に出る気力もなく、初めてウーバーイーツを利用し、とある飲食店のテイクアウト弁当を食べた。味は普通に美味しかったが、私は半分程度しか食べられなかった。

そして夜、遅くまで開いているスーパーまで、私は息子の自転車に乗り、息子は軽く走りながら、買い出しに出た。夜はもう26℃くらいまで気温も下がり、熱中症になることもなかった。

野菜や豚肉、塩鮭や菓子パンなどと、足りない日用品を購入し、一緒に帰る。

ふだん地元では車で買い物をするので、カゴしかない自転車で買い物をするのは、なかなかたいへんだったが、息子がだいぶ荷物は持ってくれたので、なんとかなった。

長男のかつてのアパートは、目の前にスーパーがあったので、かなり便利だったなと思う。

そして、寝る前に小腹が空き、購入したばかりの菓子パンを頬張った。それがまずかったのか、あるいは台風が近づくと、たとえ関東に上陸でなくてもめまいを起こすのでそのためか、はっきりとした嘔吐の原因はわからない。

翌日息子と話したら、どんなにいいアパートでも、初めての場所に泊まるわけだから、やっぱりストレスが出たんじゃないかと。

確かにそうかもしれない。

寮生活の経験はあっても、完全なひとり暮らしの経験がない私にとって、なんとなく狭い空間が怖く感じるのかもしれない。

というわけで、今日はいったん自宅に戻ってきた。自宅でもやり残したことはたくさんあるが、とりあえずは疲れて昼寝をしてしまう。

つい先程、ひとりでお昼ごはんをいただきながら、特に見たいテレビ番組もなかったので、娘が産まれたばかりの頃に夫が撮影したビデオを見た。

その中で、私が授乳を終えて、赤ちゃんにゲップをさせようと背中をさするがなかなか出ない(本当は必ずしも出なくても良いのだが)様子を見て、夫が優しい声でひとこと。

「代わろうか?」

そのひとことを耳にしただけで、どっと涙があふれた。

「代わろうか?」 ずいぶん長い間、誰からも聞いてはいない言葉だ。

そう、ひとり親の負担を自らすすんで代わろうとしてくれた身内は、誰もいない。

数十人の、両親、妹、義理のきょうだい、いとこ、叔父、叔母たち。誰ひとり、本人自身がひとり親家庭で育った経験もなければ、70〜80代まで立派に伴侶と添い遂げた、あるいは今なお夫婦健在で暮らしているひとたちばかりである。

わかるはずがないのだ。

いったい何がたいへんで、何に困っているのかも。

先日、初めて数秘セラピーというものを受けた。「今まで十分子育てを頑張ってきたのだから、これからは自分にご褒美のつもりで、好きなこと、やりたいことをやってください。」とアドバイスをいただけた。

私は、今すぐには無理でも、なんとなく、私のようになかなか周囲のサポートが得られずに困っているひとたちの力になれるような仕事をしたい。そう、ふと感じた。

焦らなくてもいい。

これからゆっくりと、自分が自由に使える時間を生かして、いろいろなことを新たに学びながら、誰かのお役に立てたらなと思う。