終わりよければすべてよし

ひとり親卒業日記

次男の所属学科決定

東京大学というところは、推薦入学を除いて、入学時点では将来どの学部に進学するかは決まっていない。先日、次男は無事に、最初の第一希望通り経済学部に内定した。経済学部には、経済学科、経営学科、金融学科の三つがある。東大の場合、それぞれ必修科目が異なるだけで、好きな科目を履修できるから学科間の垣根は低い。そして、先日ようやく息子の所属する学科が決まった。それは、金融学科だ。

 

昨日たまたま、夕飯のあとに、受験生時代よく世界史の話を私に聞かせてくれたように、マクロ経済学について興味深い話をしてくれた。私にとって、マクロ経済学というと、一番に「再履修」という言葉が思い浮かぶ。長男の大学時代、何度目にした文字か。次男が笑って言う。お母さん、マクロと再履修は何の関係もないから。

 

息子が言うには、教授にもよると思うが、すべての先生が皆、話し方が上手なわけではないそうだ。それはそうだろう。教師たるもの、特別話し方の訓練を受けるわけでもなく、わかりやすく面白い話し方が得意な人もいれば、滑舌が悪かったり、話の途中で止まってしまいがちな人もいるだろう。息子は言う。僕、ひとの話を聞くの、苦手なんだよね。

 

そうなのか。それで居間にあるお財布を忘れずにバッグに入れてから出かけるように言っても忘れてしまう。たまたまズボンのポケットに入れたままにした500円玉でギリギリ駅の改札を通れたり、高校時代などは先生が貸すどころか、校内で失くしたまま見つからないお財布の代わりと言い、千円をくださったことまであったっけ。

 

話がずいぶん逸れたが、要するに、マクロ経済学の教科書があまりに素晴らしくて講義を聞くより、よほどわかりやすいそうだ。確か、グレゴリー・マンキューという経済学者の著書だったと思う。かなり分厚い本なのだが、あまりの面白さに熱心に読みふけり、昨晩はその一節を私に聞かせてくれた。

 

まずは「ハイパーインフレーション」。

私には初めて聞く言葉だった。強いて思い出すなら、大正生まれの私の大叔父は、今なおブラジルで健在だ。昔、私の祖父が健在だった頃、ブラジルはインフレがひどいからと、時々お金を弟に送っていた。

 

しかし、息子から聞いた話にはびっくりした。一番ひどい例はジンバブエ。一通り話を聞いたあと、YouTubeで関連動画を探してみた。日本人の旅行者がジンバブエに行き、現地の人と仲良くなる。何より、現地の人が明るいのに驚いた。日本人は民族的に暗いと言われるが、日本国内であのようなハイパーインフレが起きたなら、どうなるのか想像するだけでも恐ろしい。ところが、その現地の人は笑いながら、今はもう使えないかつてのジンバブエドルの紙幣を大量に日本人旅行者に見せる。そしてそれをすべて、US$10で旅行者に売るのだ。あとでメルカリでジンバブエドル紙幣を探すと、今の交換レートでは1円にも満たないものが、1万円以上で実際に売られているから驚きだ。現地のひとも銀行で交換するより、興味ある旅人に販売した方が得なわけだ。

 

また、ベネゼエラでは、今なおハイパーインフレの真っ只中。

 

今日10億の価値があるものが、翌日には1円になるなんて、信じがたい状況だ。(例え話に書いただけで実際にはもっと恐ろしい。関心ある方はネットなどでお調べください。) 銀行が財政危機に応じて、紙幣を増刷し続けるということが、どれだけ恐ろしいことか。

 

他にも敗戦後のドイツの状況や、数年前のギリシャの状況など、いろいろと熱心に説明してくれた。

 

改めて、やはり息子は自学に向いているタイプだなと思ったが、来年度こそは本郷キャンパスに通い対面での授業が増えることを願う。また、今学期さまざまな専門科目が入ってきて、とにかく進捗スピードが速いと。やはりこの大学は、それにまともについて行ける力がないと、きついだろうなとつくづく感じた。

 

私自身はと言えば、どうも最近、病後うつ気味だなとわかった。退院直後より明らかに少しずつ、身体は回復している。いや、実際のところ、軽症の患者でも1〜2か月は入院するそうだから、重症であったにもかかわらず、わずか2週間で退院し、その後リハビリ専門病院にも入院の必要がないのである。視界も完全に良いとは言えないが、ものが二重に見えることはまったくなくなった。本来なら喜ぶべきところだ。

 

それでも、怖いのだ。時折不安になるのだ。いつまた、再破裂、または全然違う病気にかかる恐れがあるかとか、必要以上に心配になるのだ。

 

病は気から、という言葉があるが、本当にその通りだと思う。結局のところ、今回の病気の発症の一番の原因は、やはりストレスだと感じている。高血圧や肥満のひとが皆、同じ病気になるとは限らない。むしろ、この病気は、低血圧のひと、または痩せ型で高血圧のひとがかかる方が危険らしい。やはり、血圧でも体重でも、標準の数値が一番、健康でいられそうだ。

 

話が長くなってしまった。そろそろ、台所を片付けてお昼ごはんに、鈴波の粕漬けを焼こう。このお魚、なんとオンラインで注文したら、業者のミスにより、同じものが2つ届いてしまった。お代は結構ですと言われたため、ありがたくいただいている。高級だがやはり美味しいお魚たち。頻繁にいただきすぎて、もう当分はいいかなあ。