終わりよければすべてよし

ひとり親卒業日記

息子の東大受験中に救急車に乗った母

いや、なんとも情けない。

しかし、いかんともしがたい状況であった。

 

昨日で、次男の第一志望の大学の二次試験が無事に終了した。今回は、1月のセンター試験のあとのようなことにはならずに、息子自身は体調も悪くなく、試験を終えることができ、何よりであった。

 

しかし、親の私の方は、とんでもないことになっていたのだ。

 

昨年は息子がひとりでホテルに泊まりたいと言っていたので、そうさせた。しかし、朝食会場ではほとんどが母親と受験生の親子連れだったそうだ。

 

今年は、わざわざ部屋は別にしてあげ、私もホテルまで同伴した。試験初日、息子を改札で見送ってから少しあとに、せっかくだからと私もひとりで井の頭線に乗った。会場に着くと、噂通り、たくさんの予備校の応援団が、「受験生の皆さん、頑張ってくださ〜い!」と声をかけながら、それぞれ旗を掲げていた。そして、かなり多くの保護者の皆さんが、しばらくは動かずに入場を見守り、最後に大学の写真を撮ったりしていた。受験生の中には、私よりも年上の方もいらっしゃった。

 

それから、ふと思い立ち、学問の神様、湯島天神に向かう。そこで初めて、合格祈願のご祈祷をしていただく。一緒にお願いをしていた方は、お茶の水女子大や東京藝大を受験するお子さんのお母さんだった。

 

見ると、つけるところがないくらいたくさんの絵馬があった。見ると、我が子の合格を願う母親の祈りの言葉が目立つ。

こんなにも、世のお母さん方は、我が子を思い参拝をしているのだなと感じた。

 

それからホテルに戻り、息子の帰りを待つ。そのあたりまではまだ、私は全く元気だった。

 

こちらからは何も聞かないでいたが、息子が初日の試験について語り始めた。初日は国語と数学だ。

 

どうやら、今年の東大数学は、文系理系ともに2015年並みか、それ以上に難化したらしい。昨年よりはずっと難しく、特に文理共通問題は、理系のひとにとってさえ難易度が高い問題だったそうだ。

息子はなんとか二完はし、あとは一部解けたので、よくて50点は狙えるかもというところ。しかし、最近受けていた模試や通信講座の問題では、ずっと70-80点をキープしていただけに、相当悔しかったようだ。本当は初日に自己採点なんてしない方がいいと思うが、気になって仕方なく、解答速報を見たようだ。おそらく平均点はかなり下がる様子。平均は超えられたとわかると少しだけ安堵。初日では差がつかないので、二日目勝負と踏んだらしい。2015年は、数学以外に英語も難化していた。そして迎えた二日目。試験科目は、地歴と英語。世界史は、予備校の敏腕講師のおかげもあり、かなり満足の行く解答ができたようだ。

しかし、英語がまた難化したらしい。リスニングもかなり難しくなり、昨年よりきつかったようだ。しかし、結果的には正解も多かったようだ。

 

そして私は、初日の晩に激しいパニック発作に襲われた。なんとか抗不安薬を飲み、どうにかその晩は眠った。翌朝も絶不調だったが、息子にはその様子は見せないようにし、見送りをした。それから少し部屋で休み、時間までにはチェックアウトをした。

 

本当なら、あとは電車一本で帰るだけだった。

 

しかし、何とも気持ちが悪い。仕方なく、途中の駅までタクシーを使う。これがまた荒い運転で、渋滞もしていたため、一層気分が悪くなった。そして、結局池袋の駅付近で降ろしてもらい、どうにもしようがなく、娘に電話で事情を伝え、新たにホテルを予約する。なんとかチェックインを済ませたあと、とてもひとりで部屋にいられる状況になく、とうとうフロントで救急車を呼んでもらった。パニック発作で乗るのは初めてだ。いつもの薬を服用しても、簡単には収まらなかった。

 

病院で血圧を測ると、190の120。上も下もかなり高い。そこでは、めまいが起きたときにしてもらう点滴をし、なんとか娘が到着する頃には、少し落ち着けた。

 

そして、今日はなんとか自宅に戻ることができたのだった。

 

本日は、一橋大学後期の一次審査も通過した。今は、念のため後期の勉強もしている。それ以外に、経済学の本を大学用に買い求めている。学びたい分野がはっきりしているのはいいことだ。これからは、明るく勉強ができそうな感じだ。

 

受験の付き添いで、緊張や疲労がマックスになり、救急車まで呼ぶ始末で、母親としては情けない限りだ。娘が駆けつけてくれて、本当に助かった。

 

「お母さん、これで受験そのものはほぼ終わったよ。長かったけど、やっと終わったんだよ。もう心配になること、ないよ。」

 

息子はそう、明るく励ましてくれた。