終わりよければすべてよし

ひとり親卒業日記

次男のひとり暮らしの奮闘ぶり

最近、受験終了組というカテゴリーにいていいのかよくわからないような話題が続いてしまった。本当は、他に書きたいことがずっとあったのだ。

以前書いたように、次男は春学期の間は自宅で東大のオンライン授業を受け、夏休みが終わる前に秋学期の対面授業に向けて、大学の近くに引っ越しをした。

次男は、高校生のときから、隣りの部屋にいたお兄ちゃんのオンラインゲーム中の騒音に悩まされていた。いくらお願いをしても、まともには控えてくれなかったのだ。それでこんなふうに言っていた。 「僕、大学生になったらひとり暮らしをしたい。大学でもしっかり勉強するつもりだから、隣りがうるさいと困るのは受験が終わってからも変わりない。僕は電車の中では勉強がはかどらないから。それにいつまでも家にいたら、お母さんに何かと頼り、自立できないような気がする。」

私などが学生のときは、イギリス留学期間を除いて、まったくひとり暮らしをしてみたいという願望がなかった。理由は単純だ。家事に興味がなかったし、当時は今と大違いでカレーすら作り方を知らないレベルだった。また、あまりにもやりたいことがたくさんありすぎて、自宅通いでも家事を手伝う時間もゼロだった。それは決して遊ぶ時間に忙しかったわけではなく、自分の好きなことを追求する時間に追われていたのだ。英会話、英語での劇やミュージカルの鑑賞並びに出演、海外ひとり旅を含む旅行、シェイクスピアの作品を日本語とエリザベス朝時代の古英語で読むこと、体育会でのハードな練習や試合、もちろん切磋琢磨する仲間が常に周りにはいた。家族と過ごす時間の方が短かった。

一方、我が家の子供たちは電車通勤や通学が苦手で、近くに住み、自分で好きなように暮らした方が楽に感じるようだ。

最近の次男はがんばっているなと思う。先日久しぶりにアパートを訪れたときは、フライパンでもできるすき焼きを振る舞ってくれた。ガスコンロのお掃除や、洗い落ちていないフライパンはよく洗っておいたが、それだけまめに自炊しているのがよくわかる。

この前は、鯖の甘辛煮をレシピ検索をして作ったそうだ。家では塩鯖を普通に焼くくらいしかやっていないが、いろいろと食べたことのない料理にも興味を持ち、挑戦しているようだ。私が泊まったときも、最近の日課だそうで、ランニングに出かけた。見ると少しは痩せたように見える。本来はずっとスリムだった息子も、受験期間椅子に座る時間が多く、かつ食欲は旺盛だったため、以前よりは体重も増えていたのだった。

洗面所の鏡を拭いたり、床を掃除したり、ダンボールはすぐに紐でしばりゴミ出しの準備をしたりと。 「僕、ちゃんと生活してるでしょ?」 確かに。なかなか家にいたときよりもずっと率先して家事に取り組んでいるではないか。こういう様子を見て初めて、ああ、ひとり暮らしを経験させて良かったなと思えるものだ。

高校の家庭科の教科書まで熟読して、改めて栄養についてまで勉強しているという。基本がまじめなんだろうが、やはり男子ならできなくてもいいという考えがさらさらないのはいいことだ。

久しぶりに頬張った、息子の焼くフレンチトーストは、変わらぬ美味しさを放っていた。