13回目の命日を控えて
お父さん、
ここ一か月は、数えたわけではないけれど、本当に良く泣いたよね、私。
考えてみたら、お父さんが亡くなってから、命日反応が起きやすい十一月をたったひとりで過ごしたのは初めてだったんだね。
なんだか、久しぶりに目が腫れるほどよく泣いたと思う。
こんなに年月が経っても惜しまれるのが幸せなのか、もうさすがにいい加減迷惑なのか、わからないね。
せめて自分に、お父さんと交信する能力でもあったらいいのに。
あるいは、あと一日だけでいいから会いたい。
でも実際に会うのはだめだね。きっとその翌日から、再び二度と会えない現実にもう二度と向き合えなくなりそうで。
そうそう、お父さん。お父さんがあれほど可愛がっていた娘がね。とうとう婚約したよ。
え、もうとっくに知っているって? そうか。そうだったのね。
じゃあ、ちょっとは焼きもちを焼いている?
私はね。まだ実感が湧かない。きっと結婚式がずいぶん先になりそうだからかな。でも入籍は新年明けたら、済ませるみたいよ。
お父さんが生きていたらさ。今頃は夫婦水入らずで暮らしていたのかな。それとも、子供達はみんな結婚までは家にいたのかな。
命日を過ぎると私はいつも元気になるよね。大丈夫かな。
十三年前の今日は、お父さんの血中酸素濃度が下がってたいへんだったと、翌日看護師さんから聞かされた日。確かいつもお見舞いに行くときは、70%くらいだったっけ。これが100%になれば人工呼吸器を外せるから、早くそうなって欲しいとお医者さんが言っていたね。
今でも思うよ。お父さんには長生きしてほしかったって。でもそれは、贅沢な望みなのかもしれないね。
命日には、義両親と子供達とお墓参りに行きます。
娘の婚約者は、また改めて紹介するね。
ああ、最後にひとつだけお願いが。
娘の結婚式だけは一緒に出席して。透明人間でもいいから。私が倒れたりしないように脇でしっかり見守ってね。
よろしくお願いします!
もし聴けたら、この歌でも聴いてみてね。今の私の気持ちです。